仏前結婚式について
ご本尊様の前で誓い、未来への扉を開きましょう。
仏前結婚式は、参列者のすべてが浄められ、み仏の前で教えが説かれ、両者がまっとうに生きて行きますと誓い、ご守護を受けるものです。誓う相手は、み仏であり、ご先祖様であり、伴侶となる人であり、縁となった両家の人々です。
まず、社会や親や生きとし生けるものや仏法僧の恩に背かず、人が人たり得る戒めを守ること、次に、祖先の名を恥ずかしめず、社会へ恩返しをすることを誓います。次に、新郎は「人の道に背かず、妻を護り敬愛し、共に戒めを守り生涯苦楽を共にします」、新婦は「人の道に背かず、夫を助け敬愛し、共に戒めを守り生涯苦楽を共にします」と誓います。そして、お互いに聖水を飲み、親族一同も杯を酌み交わし、若い二人の旅立ちを祝います。
場所は本堂とは限りません。仏具さえ置ければ、どこででも挙行できます。簡素ながら、み仏のご加護をいただく本格的な修法であり、感謝と決意をもって行う古式の価値を見直していただきたいと願っています。
仏前結婚式の次第
【1】 修法
全員が列席する中で、導師がみ仏と両家の御霊へご挨拶申し上げ、ご加護を願う修法を行ないます。
【2】 数珠の授与
法を結んだ数珠をお授けします。数珠は迷いの元である煩悩を祓い、魔ものから守り、無数のみ仏の徳を発揮するための仏具です。
【3】 授戒
導師が人の道をお授けします。み仏のお導きがあって初めて御霊が成仏できるのと同じく、み仏の不断のご加護があればこそ、私たちは日々を人間らしく生きられます。
【4】 指輪の交換
新郎新婦の指輪の交換があれば、ここで行ないます。
【5】 誓い
み仏の教えを守り、たった今互いの胸に抱いている決心を終生の誓いとし、人の道を忘れず、お互いに助け合い敬愛し合い、相和して生涯苦楽を共にすることを誓います。
人倫の基本中の基本である「四恩十善戒」を人生の柱とする決心もします。社会の恩や親の恩などに対する感謝を忘れず、「無益な殺生をしない、盗みをしない、つまらぬことで怒らない」などの戒律を守る誓いを立てます。
【6】 三三九度の儀
密教において世界を表現する胎藏界と金剛界は、目に見える世界と目に見えない世界でもあり、おさまりの姿と変化発展の姿でもあり、陰と陽でもあり、女性と男性でもありますが、それを合わせて二人のいのちを一つにします。
【7】 祈願
両家の縁を固める杯を挙げ、最後にもう一度祈願をして終了となります。